ヘアサロン タカオ

1949年、山梨県都留市で創業。

家族経営の小さな理容店ですが、地域の皆様や良き仲間たち、そして地元学生さん達に支えられながら営業を続けております。古き良き床屋の精神を忘れずに、なおかつ多様化するお客様のニーズにお応え出来るよう、誠意を持ってお客様にご満足いただけるサービスのご提供を目指しております。また、この度の東日本大震災おきましては 「理容店・美容室に出来ることは何か?」を考え、義援金・物資の提供・被災者支援・被災地ボランティアなど、様々な活動に取り組んでおります。

基本情報

事業者名
ヘアサロンタカオ 
住所
〒402-0053
山梨県都留市上谷4丁目7-13 
電話番号
0554-43-3928
FAX番号
0554-43-1883
最寄り駅
富士急行線

谷村町駅
都留文科大学前駅

アクセス
国道139号線 上谷郵便局(谷村工業高校正門近く)から夢庵方向へおよそ200m
業種タグ
理容店
ホームページURL
http://bbtakao.web.fc2.com/

被災地 宮城県山元町へ行ってきました

  


 6月の店の連休を利用して、宮城県の山元町へ行ってきました。 テレビや新聞の報道でも被害の大きさをうかがい知る事は出来ましたが、実際にその場に立った時に、自分の目に入ってきた光景は想像を遥かに超えていました。 震災から3ヶ月も経っているにもかかわらず、その爪痕には只々言葉を失うだけでした。 今回は2日間の日程だったので、1日目はボランティアセンターに登録しての“瓦礫の撤去”や “泥かき作業”、2日目に避難所でのヘアカットボランティアを行う予定でした。


 現地のボランティアセンターとの打ち合わせの際、こちらから用意できる車両の中で、「2tダンプで来て頂けるとありがたい。」との、言葉を受け、一緒に参加してくれた頼もしい仲間と共に、6月18日 お互いの仕事が終わってから午後10時頃、2tダンプで都留を出発しました。 普段、走り慣れている中央自動車道も2tダンプで走ると倍以上長く感じ、片道450km以上の道のりはかなりハードなものでした。 途中、休憩や2時間程度の仮眠を取り、午前8時頃山元町役場ボランティアセンターに到着しました。 受付を済ませ、その日に一緒に作業をすることになった方と、スタッフからの説明を受け現場へ向かいました。


 今回の依頼は、自宅周辺に残っている瓦礫の撤去と入梅に備えての側溝の泥かきでした。 私たちが受け持つことになったお宅は、海岸線から2.5km程の場所にあり、400m手前には3~4mの高さがある土手の上を国道6号線が通っていて、「まさかあの国道の土手を越えて津波が襲ってくるなんて夢にも思わなかった。」と、依頼者のご主人がおっしゃっていました。 しかし、現実にはその国道を超え、自宅まで津波が押し寄せてきたそうです。幸い、津波が来る前に避難されたのでご家族は全員ご無事だったそうですが、自宅は1m程津波を被り1階に置いてあった物は全部滅茶苦茶にされ、家の中は泥まみれだったそうです。 私たちが伺った頃は、1部屋だけ畳を入れ替えて何とか住める状態にはなっていましたが、2階部分の外壁が崩れ落ちていたり、縁の下の泥かきがまだ終わっていない部分があったり、まだまだ安心して住める状況ではありませんでした。しかし、ご主人も奥さんも震災からずっと続いている家の片付けや連日の葬儀参列で本当に疲れていらっしゃいました。ご主人の「もう、疲れちゃったよ。」の言葉が今でも耳に残っています。依頼された作業を終えた私たちはボランティアセンターに戻りましたが、被災された方々の心労はまだまだ癒されることはありません。平穏でごく当たり前な日常が1日も早く訪れることを祈るばかりです。

その後、翌日の打ち合わせと準備のためにヘアカットボランティアをする避難所へ向かいました。途中、津波の被害が甚大だった地区も通りましたが・・・・  手を合わせ、亡くなられた方のご冥福を祈ることしか出来ませんでした。

 避難所へ到着し、打ち合わせも終わり、その後6時からある代表者会議(避難所の中がグループ分けされていて、その代表者が毎日伝達事項や意見交換をする会議)で私のことを紹介してくれました。窓口になって担当して下さった職員の方が、前もって告知してくれていたので、私からの説明もとてもスムーズにできました。明日の利用状況もある程度把握しておきたかったので、予約を受け付けることにしました。

今回のボランティアを思い立ってから、「勢い勇んで行ったものの2~3人しか利用してくれる人がいなかったらどうしよう。。。」などと、ずっと心配だったのですが、受付を開始してからあっという間に予約で埋まってしまいました! それどころか、「明日、3ヶ月振りに仕事が再開するから、出来たら今日やって欲しい。」 と、言う人まで現れ、急遽当日の午後7時から開店することになりました。1人始めると「俺も!」「私も!」と、なり避難所の消灯時間ギリギリの9時半までに6人の方のカットをさせてもらいました。
施術中、私の方から被害のことを伺うのはあまり好ましくないと思っていたので、ねぎらいの言葉を掛けるぐらいの会話を心掛けていたのですが、被災された方にも、「誰かに話したい!伝えたい!」と、云う気持ちもあったのか、いろいろなお話を聞かせて頂きました。 中には、こちらがお返しする言葉が見つからず返事に詰まってしまうこともありましたが、被災された方のお話は深く、尊いものでした。 このような機会を与えていただけたことに感謝しております。


 宿泊場所をしっかり確保していなかった私たちは、2tダンプの荷台で寝るつもりでいましたが、その話を聞いた自警団(悲しい事に、避難所の車を狙った車上荒らしや空き巣、深夜徘徊などがあった為、避難所で自主的に作られた組織)の隊長さんが空いているテントを提供して下さいました。 敷き布団まで用意して頂き、贅沢にも自衛隊風呂のご相伴にも預かり、長い一日の疲れを癒すことが出来ました。


 翌日も朝から時間の許す限り避難所でのカットをさせてもらいました。 両日合わせて男性10名・女性6名、計16名の方のカットやシェービングをさせて頂き、みなさんに喜んでいただく事が出来ました。 理容師の仕事をしていて、「こんなに喜んでいただいたのは初めてじゃないか?」と、思うぐらいでした。 この仕事を続けていて良かった! あらためてそう感じることができた経験でした。 

 今回は思いきってボランティアに行って本当に良かったと思います。 貴重な経験をたくさんさせてもらいました。 同行してくれたS氏や、心温まる支援物資を提供してくれた仲間たちにも本当に感謝しています。 今、こうやって考えてみると、被災された方の為に行ったボランティアだったのに、私が得るものの方が遥かに多かったのではないかと思えます。 なんか本当に申し訳ない気持ちになってしまいます。 でも、また行きたいと思いました。 私が得たもののお礼が少しでもできるように。 被災された方々の生活に、少しでも日常を取り戻すお手伝いができるように。 そして、心身ともに疲れきった身体を少しでも癒していただけるように。 そんな“少し”が、たくさん集まればいいな。 と、思いました。


ヘアサロン タカオ

 

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